無線LANの応用分野は、今ではかなり広がっています

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無線LANは従来,パソコンやその周辺機器,スマートフォンなどの携帯端末に主に使われていました。それが今では、テレビなどの映像機器をはじめ、エアコンなどの白物家電、健康機器や車載機器など、さまざまな分野

無線LANは従来,パソコンやその周辺機器,スマートフォンなどの携帯端末に主に使われていました。それが今では、テレビなどの映像機器をはじめ、エアコンなどの白物家電、健康機器や車載機器など、さまざまな分野に広がっています。

 

市場が急速に拡大しているスマートフォンやタブレット端末には、ほぼ100%無線LANが搭載されています。このため,無線LAN用トランシーバICの出荷台数は急上昇し,2011年には10億個を超えました。出荷台数が増えることでICの価格が下がり,さらに採用機種の幅が広がるという好循環が生まれています。

 

現在、無線LANは新市場への展開を始めています。新市場では、従来とは異なる要求が出てきています。たとえば、「データの転送速度は遅くていいが、長距離の転送ができるように」「とにかく送受信ICの電力消費量が少ないほうがいい」「無線LANの接続を早くしたほうがいい」といった具合です。

 

IEEE802の次世代仕様です

無線LANの進化は、次世代仕様からおおよその推測がつきます。無線LANの標準化団体「IEEE802.11」の各ワーキンググループが策定した次世代仕様がそれです。

 

次世代仕様は大きく3つの方向に分けることができます。②従来の2.4GHz帯や5GHz帯よりも低い周波数帯を利用して、長距離伝送の仕様を実現します。③接続までの時間を大幅に短縮するなど、使い勝手を向上させるための仕様です。

 

①は、5GHz帯を流用した場合、1系統あたりの処理量を従来の10倍の1Gbps以上にした「IEEE802.11ac」(以下11ac)です。そして、60GHz帯のミリ波を利用した近距離での5G ~ 6Gbpsの高速伝送を目指した「IEEE802.11ad」(以下11ad)です。

 

②については,デジタルテレビの遊休周波数帯である「TVブランク帯域」(数十M ~ 700MHz帯)の間に,携帯機器向けの500M ~ 700MHz帯を利用して伝送距離を3倍程度に伸ばすことを目指す「IEEE802.11af」(以下11af)を推進しています。900MHz帯など1GHz以下の周波数帯を利用した長距離伝送を目指す「IEEE802.11ah」(以下11ah)もあります。

 

③は、無線LANのセキュリティ認証時間を1/10程度に短縮する仕様「IEEE802.11ai」(以下11ai)です。

 

900MHz帯も利用します

TVブランク帯の利用に着目した11afと、900MHz帯の利用に着目した11ahは、従来の2.4GHzや5GHzよりも低い周波数帯を利用するという意味で似た概念です。

 

このうち,11afは500M ~ 700MHz帯などの利用を想定しています。この周波数帯では,地上デジタル放送や無線マイクなどの優先サービスがなければ,チャンネル使用の免許申請は不要です。

 

TVの空き周波数を利用する機器では、データベースにアクセスしてチャンネルの空き状態を把握する必要がありますが、その際のアクセス方法を規格化することが検討されています。FCCが定めたTVの空き帯域の利用規約では、データベースへのアクセス機能に加えて、最初はキャリアセンス機能を組み込み、他の無線サービスの有無を検知することが求められていました。この機能を製品に搭載するには非常に高い受信感度が必要となるため、携帯端末でTVの空き帯域を利用するのは難しいと言われています。しかし、2010年後半、FCCはキャリアセンス機能を不要にする方向性を打ち出しました。

 

11ahが意図的に利用している900MHz帯などは、使用地域が制限されているテレビの空き周波数帯に比べて、世界市場との相性が良いということです。11ahでは、これらの周波数帯を利用して、伝送距離の大幅な延長を目指すとしています。

 

11ahはまだ検討中で、伝送仕様は未定です。現在,伝送方式にOFDMを用いたり,現行の無線LAN (11a/b/g/n)と同様のシステムを維持した上で,周波数帯域の物理層を低くするなどの手法を検討しています。

 

11ahタスクフォースは、アメリカでは電力やガス会社の設備を手掛ける企業が主導しており、スマートグリッドの利用シーンを想定した議論が少なくありません。

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